歯科医がやって欲しくない自己治療5選

歯のかぶせ物や差し歯がはずれた時に、瞬間接着剤で元に戻そうとしたことがあるという人が時々いますが、これは絶対にやらない方が良いです。成功率は低いし、またすぐに外れてしまうでしょう。歯のかぶせ物や差し歯が外れる場合、セメントや接着剤だけの問題ではないことが大半です。噛み合わせの問題や歯の根がダメになっているなど、複数の問題が同時に起きていることも多いです。

自分で瞬間接着剤で元に戻す場合、口の中は唾液にまみれています。唾液に混じった細菌がかぶせ物と歯の間につくことになります。歯科医療機関で治療する時のような唾液を吸い取る機械がないので、自宅で鏡を見ながら口を開けてがんばって見たところで、こういった問題があります。また、きちんと元に戻らずに浮いてしまったり、中には元の歯の位置にくっつかずに、頬の内側などの変な所にくっついてしまうて取れなくなったと、泣きついて歯科クリニックに駆け込むケースもあります。

かかりつけの歯科は完全予約制だからすぐには診察してもらえないだろうから、取りあえずは瞬間接着剤で取り付けようと考えるのかもしれませんが、これは止めてください。まずはかかりつけの歯医者さんや歯科に電話をして相談してください。完全予約制であっても緊急を要する場合は診察するし、待っても大丈夫な時は、それまでの対処法を教えてくれるはずです。歯の痛みを鎮痛剤でごまかす、ということも多くの人がやった経験があるでしょう。

しかし我慢できないほどの激しい歯の痛みは、歯の内部の神経を刺激されて起きています。市販の解熱鎮痛剤ではあまり効かないことも多いです。虫歯の初期の軽い痛みなら市販の鎮痛剤でごまかせても、そのまま何日も連日鎮痛剤を飲んで凌ぐのは良くありません。何日も鎮痛剤を飲み続けていると、いざ歯科で虫歯の治療を行う時に、麻酔が効きにくくなることもあります。

また鎮痛剤の中には、血が止まりにくくなる種類もあります。抜歯をした時に、なかなか血が止まらなくなって大変な思いをする羽目になることも考えられます。そして、解熱鎮痛剤の多くは、胃炎や胃潰瘍と言った副作用があります。胃潰瘍の原因の多くは解熱鎮痛剤です。

歯の痛みは治まらないしお腹まで痛いのでは踏んだり蹴ったりなってしまいます。激しい歯の痛みがある場合は、まずは鎮痛剤ではなく、かかりつけの歯科医院や歯科クリニックに電話をしてください。状況によってはすぐに治療を受けることもできるでしょう。日曜日や祝祭日の場合は、多くの自治体では休日歯科診療所があります。

普段から、休日歯科診療所の所在地や電話番号を把握しておくことをお勧めします。入れ歯を自分で調節する人もいますが、これも止めた方が無難です。入れ歯が当たって痛い場合、プラスチック部分を削って合わせます。何度か歯医者さんでこの光景を見たことがある人は、簡単にできそうな気がします。

「なんだ削るだけなのか」と、これくらいのことなら自分でも出来そうに思えます。そしてヤスリやカッターナイフで削るのですが、多くの場合は失敗します。そしてかかりつけの歯医者さんに泣きついて駆け込むという羽目になったケースもしばしばあります。簡単そうに見えますが、実は入れ歯の調節はかなり難しいです。

高度な技術が必要です。自分で削ってしまった人は、ほとんどの人が削りすぎています。中には修復が不可能で、また1から作り直さないといけない羽目になることもあります。入れ歯が当たって痛い時は、入れ歯に問題があるのではなく、噛み合わせに問題があるケースも数なくありません。

部分入れ歯の場合は、クラスプという針金のような金具で歯を固定しています。これも針金を曲げるくらい自分でも出来ると思って、やってしまう人がいますが、大抵は失敗しています。そしてきつくなって二度と入らなくなることもあります。簡単そうに見えますが、この調節もすごく微妙なテクニックが要求されます。

入れ歯の調整を自分でやると、時には修復不可能なまでに取り返しのつかなくなることが大半だということを知っていてください。親知らずの抜歯後に腫れた顔を保冷材で冷やすといったことも、多くの人が経験していると思います。顔が腫れると、保冷材で冷やしたくなりますが、冷やしすぎには気を付けてください。歯科医療機関で親知らずの抜歯した場合は、その後家に帰ってからの対処法は、歯科医師や看護師や歯科衛生士などから指示があるでしょう。

多くの場合は、冷やすのは何時間くらいまでにしてください、などと指示がプリントなどに書いてあると思います。過度に冷やしすぎると、腫れた部分が内部でしこりのように固くなることがあります。また、却って血行が悪くなって治るまでに時間がかかってしまうことが多いです。親知らずの抜歯後は速やかに処方された鎮痛剤を飲んで、その日は安静にしていることが大切です。

明日は出勤するのだから何としても腫れた顔を何とかしたいと、躍起になって冷やす人も多いのですが、指示された時間を守ってください。翌朝まだ顔が腫れていても、翌朝も冷やすのはNGです。鎮痛剤は数回分処方されていることが多いので、痛みはなくても腫れが気になるようなら、鎮痛剤を飲んでもかまいません。まさか、温める人はいないと思いますが、冷やしすぎも良くないということを覚えておいてください。

歯科の担当医の指示を守って冷やしてください。歯茎が腫れた時に、いつも以上に時間をかけて丁寧にブラッシングして歯をみがいたら治った、という経験から、歯茎が腫れたらブラッシングだ、と思っている人もいるようですが、これも要注意です。ブラッシングをやり過ぎてさらに歯茎を傷つけていることも多々あります。歯周病には確かに、丁寧にブラッシングして歯をみがくことが大切です。

しかし、正しいみがき方でブラッシングしないと、逆効果になることも多いです。多くの人は、力をいれてガシガシ、ゴシゴシとみがいていている傾向があります。しかし、上手なブラッシングは力を入れません。鉛筆を持つように、親指と人差し指で軽く歯ブラシを持って、小さく小刻みに震わせるようにして汚れを落とします。

歯並びによってはみがきにくい所があったり、みがき方の良くない癖があって充分にみがけていない所もあるでしょう。定期的に歯科で歯の検診を受けたり歯石を取ってもらい、その際に歯のブラッシング指導も受けることをお勧めします。歯並びや歯の形は一人一人違うので、一般的で一律的なブラッシング指導ではなく、あなた一人のためのオーダーメイドの歯みがき指導を受けておくと、歯周病の予防には効果的です。デンタルフロスや糸ようじなども上手に使えると、さらにベターです。

歯医者さんは何回も通院しない行けないし、眼科や皮膚科に比べるとお金がかかるし、という愚痴はよく聞きます。健康保険が適応されない治療もあって、確かに痛い出費となることもあるでしょう。しかし、自分で何とかしようと瞬間接着剤でくっつけようとしたり、部分入れ歯の針金を曲げたりした場合、多くの場合は失敗して最終的にはかかりつけの歯科や近所の歯科に飛び込むことになります。そして、自己治療などしないで、すぐにかかりつけの歯科で治療してもらった場合よりも、はるかに多い出費となってしまいます。

単に出費だけの問題ならまだしも、虫歯菌や歯周病菌が歯の奥の血管から体の中に入り込んで心臓に達すると、心筋炎や心筋梗塞を引きおこして命に関わることもあります。歯科の多くは完全予約制ですが、緊急的に治療をしなければならない時は、すぐに診察します。またすぐに診察できない時は、対処法を指示したり近くの対応できる歯科医療機関を教えてくれるはずです。歯のことや口の中のことで困ったことがあった場合は、まずはかかりつけの歯科に電話をして相談してください。

日曜や祝日の場合や、引越ししてきたばかりなどの理由でまだかかりつけの歯科がない場合は、休日歯科診療所や歯科口腔外科のある大きな病院に問い合わせてみましょう。くれぐれも歯の自己治療はやらないようにしてください。

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