現在行われている、歯科の最新治療法

医療の進歩は日進月歩です。「へえ、そんなこともできるようになったのですか。今の若い世代の人たちは良いですね」などと、高齢者が異口同音にびっくりするような治療法も沢山あります。歯科領域においても、さまざまな最新治療が行われています。

歯周病は成人(30~64歳)の約8割がなってしまうと言われている歯科疾患ですが、重症化すると歯槽骨と言う歯を支える土台となる骨が溶けてしまうことがあります。この骨を再生させる最新治療が登場しています。それは、PRGFという再生治療です。PはplasmaのPで血漿と言う意味です。

RはrichのRで豊富と言う意味です。Gはgrowthで成長や増殖という意味です。Fはfactorsで複数の因子と言う意味です。つまりPRGFは、成長増殖因子をいろいろと沢山含んでいる血漿を使った再生医療という意味になります。

整形外科の領域では、ケガをしたプロのスポーツ選手にPRGFによる治療を行って、早期に復帰させています。ロナウド選手や本田圭祐選手が驚くほどの早さで復帰できたのは、このPRGF治療のお陰だと言われています。この奇跡のような治療が、最近では歯科領域でも行われるようになり、今までは諦めていた治療も可能になりました。では、具体的に歯科の分野では、どのようにPRGF治療を行っているのでしょうか。

まず、患者さんから採血をします。採血の量は20ccから多くても40ccほどです。検査の時の採血よりも少しだけ多い程度で、献血するよりはずっと少ない量なので、体の負担はほとんどありません。そして、採血した血液を遠心分離器にかけます。

血小板に骨や軟組織を再生させる成長因子がたくさん含まれています。ここからPRGFを分離して取り出します。そしてPRGFを温めてアクチベータという物質を加えます。これは、成長因子を活性化させるためです。

その後、ゼリー状になったPRGFをインプラントの埋入部分に挿入します。するとPGRFのお陰で新しい骨が出来てきます。これで、インプラントをしっかりと固定することができるようになります。今までは、あごの骨が足りなかったり、骨質が良くないとインプラントが出来ませんでした。

しかし、このPRGFという方法を使うと、今までは無理だったこのようなケースでもインプラントで治療することが可能になりました。今までは難しかった大きな骨の欠損や歯肉の欠損もこの方法なら再生を促すことができます。まだまだ極一部の歯科医療機関でしか実施は出来ませんが、今後は少しずつ普及して行くでしょう。費用は実費になりますが、3万円~4万円前後の所が多いです。

自家歯牙移植と言う方法も、最新の歯科治療として行われています。多くの人が一度や二度は乳歯を抜いたり、親知らずを抜いたなどの抜歯の経験があるでしょう。自家歯牙移植は、自分尾歯を使った異色なので、馴染みやすく拒絶反応の心配も少ないと言うことが大きなメリットです。ティースバンクと言って、抜いた歯を冷凍保存しておく機関があります。

もしも歯を失った時に、ティースバンクに自分の歯があれば、そこから取り出して自家歯牙移植を行うことができます。ただし、いくつか条件があります。まず、虫歯や歯周病などがなく歯が健康であること、いsy区する親知らずなどの歯の形がシンプルで移植しやすいこと、移植先のあごの骨が健康で何も問題がないこと、親知らずなどのかみ合わせに必要のない歯であること、などとなっています。また、年齢的には30歳くらいまでの方が成功率が高いとされています。

基本的には健康保険は使えません。自由診療となるために、10万円くらいの費用が必要です。親知らずが埋伏歯(歯肉に埋まり込んでいる)で、移植際に歯が完全になくなっているなどの時は、健康保険の適応となるので、事前に確認すると良いでしょう。また、大掛かりな手術となるので、メリットとデメリットを充分に説明してもらって、検討しましょう。

3Dプリンターが色々な分野で活躍しています。中には犯罪に使われたりということもあり、困り者ですが、歯科医療の分野でも3Dスキャンを使った最新医療が行われています。CAD/CAM(キャドキャム)と呼ばれている技術です。CAD/CAMは、削った歯を3Dスキャンしてその情報をパソコンに取り込みます。

そしてパソコン上で歯の詰め物やかぶせ物を設計するというものです。通常の3Dプリンターは材料を少しずつ積み上げて形を作っていきますが、CAD/CAMは、逆に歯の色に似せたブロックをその人の歯の形に削って成形していきます。樹脂などをより早くより正確に削り出すことができるということや、金属アレルギーの心配がないこと、見た目がきれいなことがメリットです。しかし、前から4番目と5番目の歯にしか健康保険が使えません。

また、年数が経つと黄ばんでくることや、強度が低く割れやすいといったデメリットもあります。費用は、1万円前後です。CAD/CAMは、厚生労働省から許可された歯科医療機関でのみ受けることができる治療法なので、まだまだ設置されている歯科医療機関は限られています。CAD/CAMによる最新治療を希望される時は、事前に電話などで確認すると良いでしょう。

虫歯が神経までに達していて、神経を抜きましょうと言われたことがある人も、時々いますが、この、神経を取る時にも最新の歯科治療器具があります。それはマイクロスコープと呼ばれているものです。歯は1cmくらいしかない小さなものです。これを扱う時に、肉眼で見ていたのでは、ほんの1ミリの誤差でも大きな支障が出ます。

そこで、脳神経外科や眼科で使われている手術用の顕微鏡を歯科用に改良して、歯科マイクロスコープとして使われるようになってきました。マイクロスコープを使うと、20倍に拡大できます。指の指紋の1本1本まで見えて、指紋と指紋の間に絵を描くことも可能なくらいです。これだけ細かい部分も良く見えるので、健康な部分と虫歯になっている所の境目が、よりはっきりと判ります。

そのため、削らなくても良い所を削ってしまうということを、最小限にとどめることができます。また、今までの3分の1から10分の1くらいの小さな器具を使って治療を行えます。そのため、歯石の取り残すことも少なくなります。そして、マイクロスコープには写真やビデオもついているので、写真を撮ったりビデオを撮影しておけば、前回の状態とすぐに比較することもできます。

ただし、2017年現在の普及率は約5%ほどです。実費治療となることが大半です。そして1回の治療時間が長くなり、60分くらいかかることもあります。このように、歯科の分野でも技術は日進月歩で、次々に新しい技術が登場しています。

もしも歯医者さんで最新治療を進められた場合は、そのメリットとデメリットに関して充分に説明を受けた上で、納得してから決めてください。お返事は次回の診察の時でももっと先でもOKです。自宅に帰って自分なりに調べたり、別の歯医者さんに行って相談してから決めるのも賢い方法です。今すぐに返事を急がせるような歯科医療機関は、要注意と言っても良いでしょう。

費用のこともきちんと説明を受けておきましょう。総額かと思ったら1本あたりの値段だった、と言うケースもあります。また、その最新の治療法に必要な治療費以外に、診察代や検査代や薬代なども必要になってきます。総額なのか薬代や検査代も含まれているのか、なども確認しておきましょう。

他の歯科医療機関と比較して極端に安かったり高かったりする場合も要注意です。治療期間が長くかかる治療や何度も通院しないといけない場合は、交通費もバカにならないでしょう。交通費のことも考えましょう。そして、新しい治療法の副作用やリスクは、今の時点におけるものです。

10年先2や20年先や30年先のこととなると、新しい治療法なだけにまだ未知数の部分も多いです。何十年も先のことは判らないこともあるという事を、心得ておきましょう。

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