歯科を選ぶときの基準は、ひとつとは限りません。複数の基準をもって、自分にとっての最適な医院を選びましょう。抜歯を提案したがる医院と、できるだけ抜歯をしないで済む方法を提案する医院がありますので、抜歯の基準を参考にする方法も良いでしょう。基本的に、悪化しすぎている状態の虫歯は、抜歯を提案されます。
虫歯菌による感染症を防止するための最善策とされています。条件は治療が不可能であると判断された場合です。現在の虫歯から虫歯菌による感染箇所を削ったり、削った部分を修正するために塗ったりしても、歯としての維持が困難と判断される場合は、抜歯が適切と言えます。困難の判断基準は曖昧な場合が多く、とにかく迅速に抜歯すべしと提案してくる場合と、抜歯しなくても済む選択肢や治療法を提示してくる場合があります。
最終的な判断は自分自身なのですが、どのような判断をするタイプの歯科なのかで、将来的に治療し続けるか、それとも別の歯科を選択しなおすか、行動が違ってきます。まずは、抜歯の基準を説明してもらい、納得できるか否かで判断すると良いでしょう。医師によっては、抜歯の説明を求める患者に対して不快感を示す場合もありますので、コミュニケーションの問題である場合もあります。抜歯をする基準を把握するときに、分かりやすいのが親知らずの存在です。
親知らずと呼ばれる奥歯は、虫歯でなくても抜歯が適切であると考えている医師は少なくありません。医師としての経験であるのはもちろんのこと、医師になる前から受けていて教育や、家庭環境による躾も影響しています。最新の歯学の研究結果や、独自の医療観点から、親知らずが虫歯であれば抜歯をしても良いが虫歯でないのに無条件で親知らずを抜歯することに異議を唱える医師もいます。親知らずであろうとも、あくまでも奥歯であり、虫歯でないのに抜歯をする理由がないというのが一般的な判断です。
ただし条件として、歯磨きが適切に行われていることが挙げられます。親知らずと呼ばれる奥歯が虫歯になりやすいのは事実だからです。なぜ親知らずが虫歯になりやすいのかというと、奥歯であるがゆえの位置関係で歯ブラシが上手に届きにくいことが挙げられます。歯ブラシの選び方や歯ブラシの硬さによって、歯磨きが上手な人と、歯磨き行為に問題がある人がいますので、歯ブラシの選び方と使い方とを総合的に観察したうえで判断するのが理想的です。
判断するべきポイントが複数ありますので、確認することなく抜歯を即決しにくいのも事実です。親知らずであるからと言って無条件に抜歯をしようとしない歯科は、老後の歯の健康に対する配慮が根拠になっています。老後に自分の歯を何本しっかりと維持できているかが、歯の健康に重要だからです。親知らずであっても、自分の歯として維持できていれば、老後の自分の歯の本数そのものが多いことを意味しますので、食事行為にも良い影響になります。
一般的には常識と言っても過言ではないのが、親知らずは抜いてしまったほうがいいという考え方なのですが、その理由や根拠を考えるときには、いくつもの疑問点や解決策があります。いくつもの疑問点と、疑問に対する回答も複数ありますから、そういった話題に限定してもコミュニケーションの時間がかかります。歯科医師が無条件で抜歯を提案するのとは、かかる時間が違うことでも判断できますので覚えておきましょう。医師にも短気な性格の場合がありますし、患者にとって最適と判断できる自信がある場合は強気に提案する医師もいます。
最終的には自分で決断することですから、できるだけ時間をかけてでも、納得できる自分なりの回答をしたいという考え方にも一理あります。もしも抜歯に対して、なんらかの疑問点があるのであれば、遠慮せずに質問しましょう。虫歯の治療は、一日だけで完了するケースが少ないです。汚れを削り落とし、歯を修正し、必要に応じて被せものを作成しなければならないからです。
今日一日だけがまんすれば良いと割り切るよりも、長い付き合いになるのだと考えた方が、結果的に自分の歯の健康につながります。口腔内環境は衛生であるのが理想的ですから、虫歯菌は殺菌し、虫歯の治療を完了させたならば再発防止が重要になります。確かに抜歯は、迅速な対応になるのですが、もう二度と自分の歯が再生されないリスクもあります。子供のころの歯と違って、大人になってからの永久歯を抜歯してしまうと、抜歯した個所からの自分の歯の再生は極めて困難であり、事実上無理であると言って良いでしょう。
自分の歯を一本でも多く残した状態で老後を迎えて欲しいと願っている歯科医師は、安易な抜歯ではなく、なんとか抜歯せずに済む解決策を考えてくれる傾向が強いのは、歯が一生の問題になるからです。自分なりに決断するとしても、医師の提案も重要です。医師が強気に迫れば、患者としては同意しやすい状況になるのも現実です。そこは冷静に自分を見つめて、この医師に、これからも治療を任せても本当に大丈夫なのだろうかと自問自答するのも良い行動です。
悪化させてしまった虫歯は、その日のうちに抜歯される場合もあります。患者が拒否すれば抜歯されませんが、歯科医師によっては抜歯拒否の態度そのものに対して怒りをあらわにします。実は怒りをあらわにする医師も、患者の生命の安全を考慮しているからです。虫歯菌というよりも、歯槽膿漏を伴っている場合の歯周病菌と言えば分かりやすくなります。
歯周病菌が歯の表面だけでなく、歯茎の内部にまで到達してしまうと、生命の危険になってしまう場合があります。厳密には、歯周病菌が血管内部に到達して、血液によって体内に循環されてしまう場合です。歯周病菌が血液によって体内に循環してしまうと、脳に悪影響を及ぼしかねません。考えたくないことですが、最悪の事態を否定できない状況に陥ります。
最悪の事態に陥るのを避けるために、緊急的に抜歯が必要と判断されるケースがあります。患者が見極められるポイントとしては、抜歯した歯を持ち帰れるか質問すると明確に分かります。記念に持ち帰れる歯がある一方で、持ち帰りを拒否される歯もあるからです。自分の歯であっても患者が持ち帰ることのできない歯は、歯周病菌に感染して除菌や殺菌が不可能と判断される歯です。
歯科を選ぶときのポイントは、抜歯の提案に、どれだけの根拠があるのかを、きちんと説明してもらえるかです。適切な処置なのだから黙って従ってもらう、という態度では、不安に感じてしまうのも無理ありません。歯科医師が説明を怠らずに、丁寧に説明するように心がけてくれれば、抜歯の必要性や、抜歯の緊急性が理解しやすくなります。自分で抜歯の決断をすれば良いと言われても、やはり専門家である歯科医師の知識と経験が重要です。
患者は素人でよいのですから、たとえ同じ質問であっても、繰り返し医師に対して相談して良いと覚えておきましょう。相性の問題というと医療行為とは異なる印象かもしれませんが、虫歯の治療を完了させるには時間が必要です。一日では完了しませんが、だからといって何年もかかるとは限りません。三か月から半年程度で完了する場合も多いです。
限られた治療期間であっても、同じ歯科医師と顔を合わせて、話をしながら治療を進めます。疑問点に対して真摯に回答してくれるのか、不安点に関して納得できるように丁寧な説明が得られるのかを見極めると、コミュニケーション取りやすい医師かどうかを自分なりに判断できます。名医の評判も素晴らしいですが、まずは自分にとっての判断として、抜歯をテーマにして質問してみると良いでしょう。
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